はじめに
Blenderの作業では,同さが軽く見通しのいいsolid画面で行いますが,その他にもMatrial画面とRender画面があります.これまでは,Material画面の存在意義が良く分からずデフォルトでは明るすぎてあまり自分の好みに合わないので使っていませデした.
Material画面の設定項目をいじってみると,3Dモデルを絵画として見ることができ,なかなか面白いことに気が付きました.もっとも本来の目的は,Materialの確認することのようです.
今回は,Material画面(3D Viewport右上の球アイコン)にある設定項目(Render Pass)の威力を確認してみました.
写実,抽象,モダン芸実などの雰囲気を表現できそうです.
実際,これらの設定項目がなにをしているか? そう,Emissionを多用している僕としてRender PassをEmissionにした時に気が付きました.内部処理は、レンダー成分を切り替えているようですね。
記事の末尾には,グッと来たRender Passの設定で実際の3Dモデルの表示例を示しました.その違いを確認してみてください.
以下の3分類が用意されています。
| 分類 | 実在する項目 |
|---|---|
| General | Combined / Emission / Environment / Ambient Occlusion / Shadow / Transparent |
| Light | Diffuse Light / Diffuse Color / Specular Light / Specular Color / Volume Light |
| Data | Position / Normal / Mist / CryptoObject / CryptoAsset / CryptoMaterial |
Glossy、Z / Depth、Transmission、Bloom、Diffuse Direct / Indirect、Specular Direct / Indirect などは、ありません。
操作方法
Blenderの3D Viewportでは、右上のViewport Shadingから表示方法を切り替えることができます。
通常は以下の表示を使います。
| 表示モード | 主な目的 |
|---|---|
| Solid | 形状、選択、編集状態の確認 |
| Material Preview | マテリアルの色・質感の確認 |
| Rendered | ライト、影、ワールドを含めたレンダーに近い確認 |
Material PreviewやRendered表示では、Viewport Shadingの設定内に Render Pass という項目があります。
Render Passは、完成画像を構成する要素を切り替えて表示する機能です。
通常の見た目だけでなく、発光、影、拡散反射、鏡面反射、法線、位置情報、Mist、Cryptomatte用情報などを確認できます。
Blender 5.1のViewport Shadingで表示されるRender Pass一覧
提示いただいた画面では、Render Passは以下の3グループに分かれています。
General
Generalには、完成表示や基本的な見た目の要素が含まれます。
| 項目 | 意味 | 主な確認用途 |
|---|---|---|
| Combined | 通常の合成表示 | 最終的な見た目の確認 |
| Emission | 発光成分 | 発光マテリアルの確認 |
| Environment | 環境・ワールド由来の成分 | 環境光や背景の影響確認 |
| Ambient Occlusion | 接触部・奥まった部分の陰影 | 接地感、くぼみ、隙間の確認 |
| Shadow | 影 | 影の濃さ、方向、出方の確認 |
| Transparent | 透明成分 | アルファ、透明素材、抜き表現の確認 |
Combined
Combinedは、通常の完成画像に最も近い表示です。
マテリアルの色、ライト、影、反射、発光、環境光などが合成された状態で表示されます。
通常の作業ではCombinedを使います。
ただし、Combinedだけでは、見た目の問題が「色」なのか「ライト」なのか「影」なのか「法線」なのかを判断しにくい場合があります。
そのような場合に、他のRender Passへ切り替えて原因を分解します。
Emission
Emissionは、発光マテリアルの成分を確認するRender Passです。
たとえば、以下の確認に使えます。
| 対象 | 例 |
|---|---|
| 発光オブジェクト | LED、ネオン、発光ライン |
| エフェクト | 光る模様、魔法表現、発光パーツ |
| マテリアル確認 | Emission ColorやStrengthの確認 |
Combinedでは、発光部分がライトや背景と混ざって見えることがあります。
Emissionを見ると、発光成分だけを切り分けて確認しやすくなります。
Environment
Environmentは、ワールドや環境由来の影響を確認するRender Passです。
Material Previewでは、シーンのライトだけでなくプレビュー用の環境が見た目に影響することがあります。
そのため、モデルの色や明るさが想定と違う場合、Environmentを確認すると、環境光の影響を切り分けやすくなります。
Ambient Occlusion
Ambient Occlusionは、物体同士が近い部分、奥まった部分、隙間、接地部などに出る陰影です。
たとえば、以下のような部分で重要です。
| 場所 | AOの見え方 |
|---|---|
| 足と床の接地部 | 接地感が出る |
| 服のしわ | 立体感が出る |
| パーツの隙間 | 奥行き感が出る |
| 顔や体のくぼみ | 形状が強調される |
AOが強すぎると、汚れたように見えることがあります。
逆に弱すぎると、物体が浮いているように見えることがあります。
Shadow
Shadowは、影の成分を確認するRender Passです。
以下の確認に使います。
| 問題 | 確認内容 |
|---|---|
| 影が濃すぎる | ライト強度、距離、影設定の影響 |
| 影が薄すぎる | ライトや環境光の影響 |
| 影が変な方向に出る | ライト方向やオブジェクト配置 |
| 接地感がない | ShadowとAOの不足 |
影の問題は、ShadowだけでなくAmbient OcclusionやDiffuse Lightと合わせて確認すると分かりやすくなります。
Transparent
Transparentは、透明・アルファに関係する成分を確認するRender Passです。
以下のようなマテリアルで役立ちます。
| 対象 | 例 |
|---|---|
| 透明素材 | ガラス、薄いフィルム |
| 半透明素材 | 布、膜、エフェクト |
| アルファ抜き | 髪カード、葉、レース |
| UI的表現 | 透明パーツ、半透明オーバーレイ |
透明表示は、マテリアルノードだけでなく、Blend Mode、Alpha設定、Backface、表示順の影響も受けます。
Transparentは、その切り分けに使えます。
Light
Lightには、拡散反射、鏡面反射、ボリュームに関係する表示が含まれます。
| 項目 | 意味 | 主な確認用途 |
|---|---|---|
| Diffuse Light | 拡散反射に対する光成分 | 光の当たり方を確認 |
| Diffuse Color | 拡散反射の色成分 | マテリアル色・テクスチャ色の確認 |
| Specular Light | 鏡面反射に対する光成分 | ハイライトや反射光の確認 |
| Specular Color | 鏡面反射の色成分 | 反射色・スペキュラー色の確認 |
| Volume Light | ボリュームに対する光成分 | 霧・煙・ボリューム表現の確認 |
Diffuse Light
Diffuse Lightは、拡散反射に対してライトがどのように当たっているかを確認するRender Passです。
マテリアルの色そのものではなく、光の当たり方を見ます。
| 状況 | 考えられる確認ポイント |
|---|---|
| 全体が暗い | ライト不足、環境光不足 |
| 片側だけ暗い | ライト方向の影響 |
| 面ごとに明暗が不自然 | 法線やスムージングの問題 |
| 色は正しいが暗く見える | Diffuse ColorではなくDiffuse Light側の問題の可能性 |
Diffuse Color
Diffuse Colorは、拡散反射の色成分を確認するRender Passです。
マテリアルのBase Colorやテクスチャ色を確認したいときに使います。
Combinedでは、光や影が混ざるため、色そのものが分かりにくい場合があります。
Diffuse Colorを見ると、「マテリアル色が間違っているのか」「ライトの当たり方が原因なのか」を切り分けやすくなります。
Specular Light
Specular Lightは、鏡面反射に対する光の成分を確認するRender Passです。
金属、プラスチック、濡れた表面、光沢のある塗装などでは、Specular Lightが見た目に大きく影響します。
| 問題 | 確認内容 |
|---|---|
| ハイライトが強すぎる | Specular Lightが強く出ていないか |
| 反射が弱い | 光源やRoughness設定の影響 |
| 表面がギラつく | Roughness、Specular系設定の影響 |
| 金属感が弱い | 反射光の出方を確認 |
前回記事で使った「Glossy」という表現は、今回のViewport Shadingの実在項目に合わせるなら、Specular Light / Specular Color に置き換えるのが適切です。
Specular Color
Specular Colorは、鏡面反射の色成分を確認するRender Passです。
反射の色味が意図通りかを確認するために使います。
特に金属系マテリアルでは、ベースカラーだけでなく反射色が見た目に影響します。
Specular Colorを見ることで、反射側の色成分を切り分けられます。
Volume Light
Volume Lightは、ボリュームに対する光の影響を確認するRender Passです。
霧、煙、雲、ボリュームシェーダーを使った表現で役立ちます。
通常のサーフェス、つまり表面マテリアルの色確認とは目的が異なります。
ボリューム表現を使っていない場合は、通常の作業で頻繁に確認する項目ではありません。
Data
Dataには、見た目そのものではなく、位置、法線、Mist、Cryptomatte用の情報が含まれます。
| 項目 | 意味 | 主な確認用途 |
|---|---|---|
| Position | 位置情報 | 空間位置に基づく確認 |
| Normal | 法線情報 | 面の向き、法線異常の確認 |
| Mist | 霧・奥行き用情報 | 奥行き、霞み表現の確認 |
| CryptoObject | オブジェクト識別用情報 | オブジェクト単位のマスク確認 |
| CryptoAsset | アセット識別用情報 | アセット単位のマスク確認 |
| CryptoMaterial | マテリアル識別用情報 | マテリアル単位のマスク確認 |
Position
Positionは、オブジェクトや表面の位置情報を確認するRender Passです。
これは通常の完成画像として見るものではなく、技術的な確認用のデータ表示です。
前回記事ではZ / Depthを説明しましたが、提示いただいたBlender 5.1画面の項目では Z / DepthではなくPosition が表示されています。
そのため、この記事ではDepthではなくPositionとして説明します。
Normal
Normalは、面の向き、つまり法線情報を確認するRender Passです。
以下のような問題の確認に使います。
| 問題 | Normalで確認できること |
|---|---|
| 面が裏返っている | 周囲と違う色・方向で見える |
| 表面がまだらに見える | 法線の乱れを確認できる |
| Shade Smooth後に歪む | スムージングの不自然さを確認できる |
| Data Transfer後に見た目が崩れる | 転送された法線の異常を確認できる |
| MirrorやBoolean後に陰影が変 | 法線方向の不整合を確認できる |
マテリアルの色やライト設定が正しくても、Normalが乱れていると表面が不自然に見えることがあります。
人体、衣服、髪、ハードサーフェスでは特に重要です。
Mist
Mistは、奥行きや霧表現に関係するRender Passです。
遠くを霞ませる、奥行き感を出す、カメラからの距離に応じた表現を確認する場合に使います。
Z / Depthと似た目的で使われることがありますが、今回のViewport Shadingの項目としては Mist として説明するのが適切です。
CryptoObject
CryptoObjectは、オブジェクト単位の識別情報を扱うRender Passです。
通常のマテリアル確認では頻繁には使いません。
主に、Compositorや後処理で「特定のオブジェクトだけを選択・補正したい」場合に関係します。
CryptoAsset
CryptoAssetは、アセット単位の識別情報を扱うRender Passです。
複数のオブジェクトを含むアセット単位でマスクや識別を行いたい場合に使います。
通常のMaterial Preview確認では、最初に使う項目ではありません。
CryptoMaterial
CryptoMaterialは、マテリアル単位の識別情報を扱うRender Passです。
特定のマテリアルだけを後処理で調整したい場合などに関係します。
たとえば、1つのシーン内で「金属マテリアルだけ」「布マテリアルだけ」「肌マテリアルだけ」を識別して合成処理したい場合に使われます。
トラブル別:どのRender Passを見るか
この記事では,絵画の雰囲気を味わえる設定項目として紹介しましたが,本来の使い方は,以下にまとめた表のとおりです.
| 困っていること | 確認するRender Pass |
|---|---|
| 普通の見た目を確認したい | Combined |
| マテリアル色が違う | Diffuse Color |
| ライトの当たり方がおかしい | Diffuse Light |
| 反射・ハイライトが強すぎる | Specular Light |
| 反射の色が不自然 | Specular Color |
| 発光が効いているか確認したい | Emission |
| 影が濃い・薄い | Shadow |
| 接地感がない | Ambient Occlusion / Shadow |
| 透明部分がおかしい | Transparent |
| 霧・煙・ボリュームを確認したい | Volume Light |
| 表面がまだら | Normal |
| 奥行き・霧表現を確認したい | Mist |
| 位置情報を確認したい | Position |
| オブジェクト単位で識別したい | CryptoObject |
| アセット単位で識別したい | CryptoAsset |
| マテリアル単位で識別したい | CryptoMaterial |
前回記事から修正すべき表現
blender 5.1に存在しないMaterial画面のRender Pass項目ついては,存在する項目を使った組合せで実現できるようですが,今回の記事では紹介に止めます.
| Blender 5.1に存在しない | 既存での組合せで表現するとしたら |
|---|---|
| Glossy | Specular Light / Specular Color |
| Z / Depth | Position / Mist |
| Transmission | Viewport Shadingの実在項目としては扱わない |
| Bloom | Render Passとして扱わない |
| Diffuse Direct / Indirect | Diffuse Light / Diffuse Color |
| Specular Direct / Indirect | Specular Light / Specular Color |
| Volume Direct / Indirect | Volume Light |
まとめ
Blender 5.1の3D ViewportにあるViewport Shadingの設定項目Render Passは、3Dモデルの構成要素を分解して確認するための表示切替装置であり,それが本来の目的機能ですが,今回は,作った3Dモデルを絵画として見るための変換装置として紹介しました。
提示いただいた画面では、Render Passは以下の項目で構成されています。
| 分類 | 項目 |
|---|---|
| General | Combined / Emission / Environment / Ambient Occlusion / Shadow / Transparent |
| Light | Diffuse Light / Diffuse Color / Specular Light / Specular Color / Volume Light |
| Data | Position / Normal / Mist / CryptoObject / CryptoAsset / CryptoMaterial |
本来の使い方では、Combinedで全体を見た後、問題に応じてDiffuse Color、Diffuse Light、Specular Light、Shadow、Ambient Occlusion、Normalなどへ切り替え・確認することで,問題となっている原因を確認することです。
たとえば、色が違うならDiffuse Color、ライトの当たり方ならDiffuse Light、反射ならSpecular Light、表面のまだら表示ならNormal、影や接地感ならShadowやAmbient Occlusionを見る、という使い方になります。
今回は,Render Passの機能を、見た目を美しくする機能として紹介しました.
参考文献・出典
気に入ったRender Pass(例)







2026/06/06, Mr.KenJin
